どうも、現場寄りのおじさんです。今回は、真空装置でよくある真空漏れの確認方法についてまとめます。
「真空が引けないけど、どこを見ればいいか分からない」
「リークしている気はするけど、原因箇所が絞れない」
「まず社内で確認できることを整理したい」
こういう相談は、かなり多いです。
真空漏れは、いきなり難しい検査をする前に、まず基本的なところを順番に確認することが大事です。
ただし、やみくもにOリングを交換したり、ボルトを締め直したりしても、原因にたどり着けないこともあります。
この記事では、真空漏れが疑われるときに、現場で確認しておきたいポイントを順番に整理します。
まず確認したい症状
真空漏れを疑う前に、まずは装置の症状を整理します。
同じ「真空が悪い」でも、原因は一つではありません。
- 到達圧が以前より悪い
- 排気に時間がかかる
- 圧力が下がりきらない
- 停止後に圧力上昇が早い
- 日によって真空度が安定しない
このあたりを整理しておくと、後の確認がかなり進めやすくなります。
特に大事なのは、いつから悪くなったのかです。
部品交換後なのか、分解清掃後なのか、長期停止後なのか。ここが分かるだけでも、見るべき場所が絞れます。
確認①:Oリング・ガスケットまわりを見る
まず最初に見ることが多いのは、Oリングやガスケットまわりです。
ここは現場でも確認しやすく、真空漏れの原因になりやすい場所です。
- Oリングに傷や割れがないか
- 異物やゴミを噛んでいないか
- ねじれた状態で組み込まれていないか
- グリスの塗布量が適切か
- ガスケットが再使用されていないか
Oリングは、見た目では問題なさそうでも、実際にはつぶれ方や硬化でシール性が落ちていることがあります。
また、Oリングを交換しても改善しない場合は、Oリングそのものではなく、シール面側に問題があることもあります。
確認②:フランジ・シール面の状態を見る
次に確認したいのが、フランジやシール面です。
ここは意外と見落とされます。
- シール面に傷がないか
- 打痕やへこみがないか
- 面に汚れや油分が残っていないか
- フランジが歪んでいないか
- 締め付けが均一になっているか
特に、何度も分解・組立をしている装置では、シール面に細かい傷が入っていることがあります。
この場合、Oリングを新品にしても、同じように漏れることがあります。
「Oリングを替えたのに止まらない」という場合は、シール面まで見た方がいいです。
確認③:ボルトの締め付け状態を見る
フランジまわりでは、ボルトの締め付け状態も確認します。
ただし、ここで注意したいのは、強く締めればよいわけではないということです。
- 締め付けが片寄っていないか
- 対角順に締めているか
- 締め過ぎで歪みが出ていないか
- ボルトやネジ部に傷みがないか
締め付け不足でも漏れますが、締め過ぎでもシール面やフランジに悪影響が出ることがあります。
特に薄いフランジや、加工品のチャンバーでは、締め方によって状態が変わることがあります。
確認④:配管・継手・バルブまわりを見る
真空漏れは、チャンバー本体だけでなく、配管やバルブまわりで起きることも多いです。
- 継手の接続部
- バルブのシール部
- 配管の溶接部
- ゲージ取付部
- ブランクフランジやポート部
特に後から追加した配管や、何度も付け外ししている箇所は注意です。
また、バルブは閉まっているように見えても、内部シールの劣化でわずかに漏れることがあります。
「本体側を見ても分からない」というときは、周辺配管まで範囲を広げて確認します。
確認⑤:ポンプ側の影響も見る
真空が悪いと、どうしてもチャンバー側の漏れを疑いがちです。
ただ、実際にはポンプ側に原因があることもあります。
- ポンプ油の劣化
- ポンプ内部の摩耗
- 逆止弁の不具合
- 排気ラインの詰まり
- フォアライン側の汚れ
ポンプが動いているから大丈夫、とは限りません。
到達圧が悪い場合は、ポンプ単体の状態と、装置に接続した状態の両方を見る必要があります。
ポンプ交換で直るケースもありますが、逆に交換しても改善しないケースもあります。
確認⑥:圧力上昇の傾向を見る
装置を止めた後の圧力上昇を見ることで、ある程度の傾向が分かることがあります。
- 急激に圧力が上がる
- ゆっくり圧力が上がる
- 最初だけ悪く、時間とともに落ち着く
- 大気開放後だけ悪くなる
急激に圧力が上がる場合は、実際のリークが疑われます。
一方で、ゆっくり圧力が上がる場合は、仮想リークやアウトガスの影響も考えます。
このあたりは、単純に「漏れている・漏れていない」だけでは判断しにくいところです。
確認⑦:リークテストを行う
目視や組付け確認で原因が分からない場合は、リークテストで確認します。
代表的なのはヘリウムリークテストですが、条件によってはフォーミングガスを使う方法もあります。
- どの範囲を確認するのか
- どの程度の感度が必要なのか
- 装置全体を見るのか、部分的に見るのか
- 現場で確認するのか、部品単体で確認するのか
リークテストは、ただ実施すればよいというものではありません。
目的に合った方法で確認しないと、「異常なし」と出ても原因が残っていることがあります。
社内で確認できる範囲と、外部相談を考えるタイミング
ここまでの基本確認は、社内でできることも多いです。
ただし、次のような場合は、外部に相談した方が早いことがあります。
- 同じ箇所で何度も漏れる
- Oリング交換や締め直しで改善しない
- リーク箇所が特定できない
- 図面や改修履歴が残っていない
- 生産や研究スケジュールに影響が出ている
この状態で同じ対応を繰り返すと、結果的に時間とコストが増えてしまうことがあります。
「どこまで社内で確認して、どこから外に相談するか」を決めておくことが大事です。
よくある相談内容
ヒロテックでも、次のようなご相談があります。
- 真空漏れの原因箇所が分からない
- Oリング交換後も漏れが止まらない
- リークテストの結果をどう判断すればよいか分からない
- 古い装置で図面が残っていない
- 他社で原因が分からなかった
こうしたケースでは、いきなり大きな修理を考える前に、まず状況を整理することが大切です。
関連する真空トラブル記事
真空漏れの確認で迷っている場合は、次の記事も順に確認すると原因整理しやすくなります。
- リークテストは自社でどこまでできる?外注を検討すべき判断基準
- リークテストで異常なし…それでも真空が安定しない原因とは?
- フォーミングガスリークテストとは?ヘリウムとの違いと使い分け
- 真空漏れ、社内対応でどこまで可能?
ヒロテックでは原因の切り分けから対応しています
ヒロテックでは、単に「漏れています」「ここを交換しましょう」という話ではなく、まず原因の切り分けを大切にしています。
- 装置構造の確認
- シール部・フランジ部の確認
- 配管・バルブまわりの確認
- リークテスト方法の検討
- 必要に応じた修理・加工方法の提案
真空漏れは、原因が一つとは限りません。
装置全体の状態を見ながら、どこから確認すべきかを整理することが重要です。
まずは状況整理だけでも大丈夫です
「どこが漏れているのか分からない」
「社内でどこまで確認すべきか迷っている」
「リークテストをするべきか判断できない」
そういう段階でも問題ありません。
- 図面なしでもOK
- 古い装置でもOK
- 他社で原因が分からなかった案件でもOK
まず状況を整理するだけでも、次に見るべきポイントが分かることがあります。
真空漏れの確認で迷ったら、一度状況を整理してみませんか?



































