どうも、おじさんです。真空装置って、いろいろ立派でも、結局いちばん困るのがこれ。
「ポンプが止まって、装置も止まる」——はい、現場が凍ります。
で、止まってから呼ばれると、だいたいこうなります。
- 原因が分からず時間だけ溶ける(ログがない)
- 代替機もなくて復旧が遅れる
- プロセスや分析のやり直しで、さらに痛い
だから最近は「壊れたら直す」から、“壊れる前に気づく(予知保全)”に寄せる動きが増えてます。工場だけじゃなく、大学・研究室でも「装置の稼働が安定する」って意味でメリットが大きいんですよ。
この記事では、難しい言葉はなるべく避けて、真空ポンプを遠隔監視して予知保全するための考え方と、現場でハマりやすい罠をまとめます。
予知保全って何?“点検の自動化+早期発見”くらいでOK
予知保全って言うとAIだIoTだって話になりがちだけど、やることはわりとシンプルです。
- 普段の状態を数字で残す(温度、電流、圧力、稼働時間…)
- いつもと違う兆候を早めに見つける(じわじわ悪化、突然の変化)
- 止まる前に計画停止でメンテする(交換部品も前もって準備)
つまり「ベテランの勘」を、ログとアラートで再現していく感じです。いきなりAIで当てに行かなくてOK。まずは“見える化”が勝ちです。
真空ポンプで“早めに気づける不調”って何がある?
真空ポンプは種類で症状が違いますが、予兆として拾いやすいのはだいたいこのへん。
油回転ポンプ(ロータリー等)で多い予兆
- 到達圧が悪化/排気時間が延びる(じわじわ)
- ポンプ温度が上がりやすい(負荷増、冷却不足)
- 電流・消費電力が上がる(抵抗増、詰まり)
- 油の状態が悪い(濁り・臭い・色、泡立ちなど)
ドライポンプで多い予兆
- 電流や温度が普段より上がる(内部負荷増、堆積、摩耗)
- 振動や異音の変化(軸受・内部接触の兆候)
- 排気が遅くなる、到達圧が落ちない(堆積、シール劣化など)
ターボ分子ポンプで拾いやすい予兆
- 振動値の上昇(軸受の劣化を疑う)
- 起動時間が伸びる/異常停止が増える
- 温度や電流の傾向が変わる(冷却不良、負荷変化)
大事なのは「何が原因かを当てる」より、まず“いつもと違う”を早めに掴むことです。原因究明はそのあとで十分間に合います。

監視するデータはこれで十分:最初の“5点セット”
最初から何十項目も取ると、だいたい続きません。まずはこの5つが現実的で強いです。
- 稼働時間(Run Hours):交換・点検の基準になる
- 吸気側圧力(またはチャンバー圧):排気の遅れが見える
- 電流/消費電力:負荷増や詰まりの兆候が出やすい
- 温度(ポンプ本体/冷却水/排気):冷却不良や負荷増を拾える
- アラーム・停止履歴:一発でヤバさが分かる
余裕が出たら、次に足すのはこのへん。
- 振動(特にターボや回転機器)
- 排気ライン差圧(フィルタ詰まりの検知)
- オイル状態(油回転系:交換タイミングの判断材料)
- 冷却水流量・水温(冷却トラブルは予兆が出る)
遠隔監視のやり方:小さく始めて、ちゃんと回す
構成は大きく3パターンあります。現場の規模やネットワーク事情で選びやすいのを選ぶのが正解です。
パターン1:メーカー機能・装置標準ログを活用(最短ルート)
- 装置やポンプに監視機能が元からあるなら、それを使う
- 既にログが取れてるなら「通知(アラート)」を整えるだけでも効果が出る
パターン2:PLC/計装からデータを集める(工場で強い)
- PLCで電流・温度・圧力・アラームを集約
- SCADA/ダッシュボードで見える化
パターン3:後付けセンサー+小型ゲートウェイ(研究室でもやりやすい)
- 温度・振動・電流を後付け
- 小型PCやゲートウェイで収集して、社内で見える化
おじさん的おすすめは、まずパターン1か3で小さく始めること。最初から大規模にやると、だいたい途中で息切れします。
AIっぽいことは後でいい:まずは“しきい値”より“傾向(トレンド)”
ここ、めちゃ大事です。しきい値(例:温度が何℃超えたらアラート)も必要なんだけど、真空装置は条件で変わるので、最初から完璧な閾値を決めに行くと沼ります。
最初はこう考えると楽です。
- いつもの状態(平常運転のログ)を1〜2週間ぶん取る
- そこから“平均との差”でアラートを出す(急に増えた、急に遅い、など)
- 原因が分かったら、徐々に閾値を整える
例を出すと、こんなアラートは現場で効きやすいです。
- 排気時間が「普段より明らかに長い」
- 電流が「普段のレンジより上側で張り付く」
- 温度が「同じ運転なのに上がりやすい」
- 同じアラームが「短期間に何回も出る」

予知保全で失敗しがちな“罠”と回避策
罠1:データはあるのに、見ない(誰も見ない)
ダッシュボード作って満足、ってやつ。あるあるです。
- 対策:通知を主役にする(メール/チャット/ランプなど)
- 対策:見る人と対応フローを決める(誰が、いつ、何をする)
罠2:アラートが多すぎて無視される
- 対策:重要度を分ける(注意/要確認/緊急)
- 対策:最初は項目を絞る(5点セットから)
罠3:ネットワークとセキュリティで詰まる
大学も企業も、ここで止まりがちです。外へ出す/出さない、クラウド使う/使わない、など。
- 対策:まずは“社内限定”で完結する構成から始める
- 対策:装置ネットワークは分離・最小権限(触れる人を絞る)
罠4:ログが装置ごとにバラバラで比較できない
- 対策:項目名・単位・保存周期を統一する
- 対策:最低限「日時」「装置名」「稼働状態」は揃える
現場で回る“予知保全の運用テンプレ”
ここまでの話を、運用に落とすとこうなります。これを回せるだけで、止まり方が変わります。
やること(週次でOK)
- 「排気時間」「電流」「温度」「圧力」「アラーム回数」の傾向を見る
- いつもと違う装置があれば、点検候補に上げる
- 点検したら、結果をログに残す(次の判断が楽になる)
判断がラクになる“最低限の記録”
- いつ(日時)
- どの装置(装置名/ポンプ型式)
- 何が変だった(排気時間が長い、温度が高い等)
- 何をした(フィルタ交換、冷却確認、オイル交換、再生…)
- その後どうなった(改善/未改善)
まとめ:予知保全は“高級AI”より、まずログと運用で勝てる
予知保全って聞くと難しそうだけど、最初にやるべきは意外と地味です。
- まずは5点セット(稼働時間・圧力・電流・温度・アラーム)を取る
- “しきい値”よりトレンド(傾向)で異常を拾う
- 通知と対応フローを決めて、見ない問題を潰す
これだけで「突然死」みたいな止まり方は減らせます。あとは現場に合わせて少しずつ育てる。これが一番うまくいきます。
「うちの装置構成だと、何をどう取るのが現実的?」みたいなところからでもOKです。現場のネットワーク事情や運用体制に合わせて、無理のない始め方を一緒に整理できます。
“うちでもできる?”と思ったら、まずは聞いてみてください!

































