真空装置のリニューアル事例と延命のポイント

こんにちは。今回は「真空装置のリニューアルやアップグレード」について、実際の事例や現場でよくあるお悩みを交えてお話しします。

最近、「装置を新しく買い替えるのは難しいけど、どうにか今のを延命できないか?」という相談がすごく増えてきました。特に半導体製造や試験装置のような真空機器は、導入当初から10年以上経っていても現役で使われているケースが多いですよね。

ただ、調子が悪くなったり、部品供給が止まったりすると、急に装置の稼働が止まってしまう。そんなときに、フランジ交換や配管再設計、溶接補修といった対応で延命できれば、コストも抑えられますし、現場への影響も最小限にできます。


リニューアル・アップグレードが必要になる装置とは?

いまお使いの真空装置で、こんな状況ありませんか?

  • 製造から10年以上経過している
  • 一部のフランジやパッキンが変形・劣化している
  • ポンプやセンサーは替えたけど、配管がそのまま
  • 昔のJIS規格や独自形状の部品がついている

こういった場合、装置全体を入れ替えるのではなく、必要な部分だけをカスタマイズ・修理することで、十分延命できるケースが多いんです。


実際のリニューアル対応事例

事例1:古いICF152フランジを再設計して気密性向上

30年以上前の装置で、ICF152サイズのフランジ座面が変形してリークが発生。メタルガスケットの収まりも悪かったため、フランジを新設計して交換。リーク検査もHELIOTで実施し、安定運用に戻りました。

事例2:Oリング仕様をメタルガスケットへ変更

脱ガスや微粒子管理の観点から、Oリングでシールしていた箇所をICF+メタルガスケット方式へ切替。あわせて座面の面粗度調整や表面洗浄処理も実施し、半導体製造装置の規格に対応。

事例3:配管経路を短縮し、流速と排気効率を改善

新旧ポンプを混在させた装置で、配管径や経路の違いがボトルネックになっていた。レイアウトを見直し、配管を最短経路化。排気時間が2割以上短縮されました。


どんな改修ができるの?

以下のような改造やアップグレードが可能です:

  • ICFフランジの追加・移設・サイズ変更
  • Oリングの再溝加工、座面修正
  • 真空配管の溶接補修・リーク対策
  • 材質変更(アルミ→SUS/SUS304→SUS316など)
  • 薬品対応・耐熱対応などの仕様変更

図面がなくても対応できます

古い装置や、OEM品の場合、「図面が手元にない」「昔の担当者がいない」といったケースも少なくありません。当社では:

  • 現物採寸・寸法スケッチからの図面起こし
  • 部品現物からのリバースエンジニアリング
  • 部品単体の作り直し、取付部再現、材質変更まで対応

もちろん、リーク検査や組立後の真空性能チェックも行います。


さいごに:装置は活かして使う時代へ

真空装置のリニューアルや部分的なアップグレードは、「壊れるまで使う」のではなく、「壊れる前に整える」考え方に変えていくことが大切です。

今ある設備を活かしつつ、必要なところだけをアップデートすることで、コストを抑えながら性能を保つことができます。

図面がなくても、情報が不完全でもオッケー構いません。気になるところがあれば、まずはご相談してほしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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